2023年10月24日
現場仕事におけるスケジュール管理は、デスクワーカーのスケジュール管理とは異なり、スケジュール管理者が、営業が受注した案件に対してスタッフを割り当てるという流れを取ります。
そのため単に自分の予定を登録するだけの場合と異なり、案件情報・スタッフ個々人の特性・エリアや移動時間・会社の車両や備品・スタッフから収集したシフトなどを考慮し、最適なスケジュールを作成しなければいけず、大変負担の大きな業務となっています。
また、作成したスケジュールの共有作業も大変であり、スケジュールには変更が頻繁に加わるため、その変更通知にも一苦労です。
本記事では、現場仕事におけるスケジュール管理の重要性やステップ、ツールの選び方について解説します。
スタッフのスケジュール管理は、現場仕事の生産性と効率性を大きく左右する要素であり、その重要性は計り知れません。
プロジェクトの成否や企業の成長にも大きく寄与するため、適切なスケジュール管理は不可欠な経営戦略と言えるでしょう。
具体的にスタッフのスケジューリングが持つ重要性について、以下の3つの視点から詳しく説明します。
スタッフのスケジュール管理は、現場仕事の生産性を向上させる効果があります。例えば清掃や電気工事、点検や補修など、1日に複数件の現場に行って仕事をする仕事の場合、多くの案件と勤務可能なスタッフをパズルの様に組み合わせてスケジュールを組む必要があります。
さらにそこに現場のエリアとしてのまとまりや移動距離、清掃用具などの備品、会社で保有している車両なども要素として考える必要があり、一言でスケジュール管理といっても大変難しい作業です。
複数の現場、複数のスタッフ、エリア、備品、車両など多くの要素を考えながら最適なスケジュールを組み立てることで、現場を無駄なく回ることができ、スタッフ一人当たりの作業量が増え、生産性が向上します。
次に、スタッフのスケジュール管理を通じて、案件の進行状況を把握することも大変重要です。案件が予定通り進んでいるかどうか、または問題が生じていないか、これらを常に確認しておくことで、必要な対策を迅速に講じることが可能となります。
例えば、あるスタッフが急に欠勤するということが分かれば、他のスタッフや社員に欠勤対応させるなどして、案件が滞りなく進むように対処できます。
さらに、現場にて対面・電話などで次の案件の相談を受けることもあります。その際にスケジュール管理が適切になされており、数ヶ月先までの自社のキャパシティが把握できていれば、その場で受注を確定し、失注リスクを免れることが可能です。
最後に、スタッフのスケジュール管理はスタッフの働き方改革にも寄与します。具体的には、スケジュール管理を適切に行うことで、ある月に各スタッフがどの程度稼働しているかが一目で把握できるようになります。
スケジュール管理が適切になされない場合、スタッフの稼働時間が月末にならないとわからず、蓋を開けてみると働かせすぎてしまったっていたという状況がありえます。スケジュール管理を適切に実行していれば、月の途中で稼働時間の修正がきくので、働かせすぎを回避できます。
特に最近では、外国人労働者を雇用する会社も増えてきており、資格の種類によって一定期間内に働ける時間の上限が決まっているため、稼働時間の管理がより一層厳しく求められます。
また、スタッフ間の業務量を平準化することも可能です。特定のスタッフばかりに仕事が振られ、業務負担になってしまったり、逆にもっと働きたいスタッフに対して仕事の割り当てが少ないなどの状況になると、スタッフからの不満が出てしまう可能性があります。
上述のように、現場仕事におけるスケジュール管理は非常に重要な仕事です。具体的には、現場仕事の生産性を向上させ、案件を適切に進行させ、スタッフの労働環境を改善できる大きな力を持っています。
本章では、スケジュール管理を実行する際の基本原則について、3点ご紹介します。
スケジュール管理の極めて重要な要素が、スケジュールに柔軟性を持たせることです。
厳格なスケジュールは一見効率的に見えますが、予期せぬ問題や変化に対応できず、迅速な対応が必要な状況では作業の停滞を引き起こす恐れがあります。特に1日に複数の現場に行く様な業種や、天候などに左右されやすい仕事内容の場合、変更は多く発生します。
そのため、予備の時間を設けたり、常に応援に入れる余剰人員を置いておくなど、変化に対応できる余地を持たせることが重要です。最初から全てを完璧に計画するのではなく、途中で微調整が可能なスケジュールこそが、便利性と効率性を両立する鍵となるのです。
次に、スケジュール管理業務の属人化を防ぐことも非常に大切です。
前述の通りスケジュール管理業務は、複数の現場、複数のスタッフ、エリア、備品、車両など多くの要素を考えながら行う必要があるため、簡単な仕事ではありません。そのため、以下に当てはまる人物が、スケジュール管理業務を担当することが多くなっています。
上記の要件を満たす人物は多くなく、小規模の会社なら社長が行っていることも多々あります。
スケジュール管理は、その精度によって会社の生産性やスタッフの労働環境を左右するものであるため、その分ミスができないプレッシャー・心理的負担の大きな仕事です。
そういったプレッシャーを特定人物に集中させないことや、万が一スケジュール管理担当者が病気などで欠席した場合も滞りなく業務が回るようにするため、スケジュール管理業務は可能な限り複数人が行える状態にして、属人化を防ぐ必要があります。
最後に、個々のスタッフの能力と相性を考慮に入れたスケジュール作りが求められます。
全てのスタッフが同じ能力を持ち、同じスピードで仕事をこなすわけではありません。各スタッフの得意分野やスキル、仕事に対する経験値など、個々の特性を理解し、それぞれに最適な役割や作業時間を割り当てることで、全体の生産性や効率が高まるでしょう。
また、スタッフも人間なので、スタッフ間でも相性があります。不仲であれば可能な限り同一案件には割り当てない方が良いですし、息がぴったりなスタッフがいれば、同じ案件に割り当てることで生産性が上がるでしょう。
スケジュール管理とは、単に案件にスタッフを割り当てて終わりではなく、大きく以下の3つの業務から構成されます。
本章では、それぞれの業務について解説します。
スケジュール管理の第一ステップは、シフトや休暇希望の収集です。
アルバイトのスタッフを多く抱える清掃、イベント運営、警備や、パート社員を抱える訪問看護・訪問介護などはシフトを収集する形式が多いでしょう。多くは翌１ヶ月分のシフト、つまり出勤可能日を収集し、調整します。
また、自社職人を抱える工事会社などでは休暇希望を収集する形式が多いでしょう。こちらも基本的には翌１ヶ月分の休暇希望日を収集し、調整します。
どちらの場合においても、各社ごとにExcelや紙で特定フォーマットが存在するか、LINEなどで収集する場合が多いです。
シフトや休暇希望の収集が完了した後、スケジュールの作成と調整をします。
基本的には営業や社長が受注した案件が、すでにカレンダー上に並んでいる状態で、それらの案件をどのスタッフに割り当てるかを決めていく作業となります。
ここで重要になるのが、先ほど収集したシフトや休暇希望を適切に反映させることです。本来シフト上では休みとなっているスタッフに対し、スケジュールを割り当てるなどのミスが発生しないよう、可能な限りシフトとスケジュールは同じ画面上で組み立てる必要があります。
また、前述の備品や車両、スタッフのスキルや相性、エリアなども加味しながら、最適なスケジュールを組みてていきます。
最後に、組み立て終わったスケジュールをスタッフに共有します。スケジュール管理者からスタッフへスケジュールを共有する作業は、これまでの2ステップに比較し、作業負担が大きくなることが多です。
決定したスケジュールをメールやLINEでスタッフへ送る場合、案件情報を文章に書き起こす手間が発生します。また、ホワイトボードやExcelで作成したスケジュールの写真をとり、画像をLINEなどで共有する方法もありますが、詳細情報は伝達できないので、結局メールやLINEで追加情報を共有します。
どちらの場合でも、一度共有したスケジュールに変更があった場合、再度同じ手間が発生するため、スケジュール管理者の負担が大きくなりがちです。
また、管理するスタッフ数が多い場合など、スタッフからスケジュール確認した旨を報告させる会社もあります。その場合、やりとりのラリーが増えたり、どのスタッフからは報告を受けた・受けてないのステータス管理が必要になるため、より共有作業は大変になります。
日々多くの案件を適切に管理し、時間を効率的に使用するためには、優れたスケジュール管理ツールの使用が欠かせません。
しかし、現在は数多くのスケジュール管理ツールの選択肢があるため、自社に最適なスケジュール管理ツールを見つけるのは難しいです。適切なツールを選択するためには、以下の3点を意識して選択するのが良いでしょう。
スケジュール管理ツールの選択の際、まずは自社で管理したい項目に合わせられるかの柔軟性を検討する必要があります。
現場仕事でのスケジュール管理と言っても、例えばビルメンテナンス業や電気工事業、警備業などで管理したい項目は全く異なりますし、求めるカレンダー画面も異なります。
多くの会社ではホワイトボード、Excel、紙を用いてスケジュール管理をしていますが、それらが好まれる最も大きな理由の1つとしてはこの柔軟性にあります。それらのどのツールを活用しても、自社の実現したい様に自由に柔軟に作成が可能なので、業種ごとの違いやスケジュール管理者のこだわりを、全て吸収したカレンダー画面を作れる強みがあります。
一方でこれらのツールでは、スケジュール作成の柔軟さでは優れていても、事項の「スタッフへの共有が簡単か」に課題がある場合が多々あります。
次に、多くのスケジュール管理者悩まされている、「スタッフへのスケジュールの共有」がどれだけ簡単に行えるか、という点もツール選定の大きなポイントになります。
紙やホワイトボードでは外では見れないため共有性に課題がありますし、Excelに関しても自社サーバーからでしかアクセスできなかったり、スマホでは閲覧しにくい課題があります。
一方、グループウェアのカレンダー機能や、Timetreeなどの予定管理アプリでは、スマホ専用画面も用意されていることが多く、共有に関してはスムーズに行くでしょう。
また、施工管理アプリや業界特化の業務ソフトに関してもカレンダー機能が付随していることがあります。
スタッフへの共有の簡単さを意識する場合、前述のアプリや業務ソフトが選択肢に入ってきますが、そこで大事になるのが「自社の目的に合致しているか」という視点です。
以下の2つで、あなたはどちらに当てはまるでしょうか。
前者であればグループウェアや業界特化の業務ソフトを選ぶのが良いでしょう。例えばグループウェアであれば、チャット、Web会議、ワークフロー、メールなど多機能がついてきて、その中の一機能としてカレンダーがあります。
他にも業界特化のソフト（例えば工事業であれば現場管理アプリなど）という選択肢もあります。こちらもファイル管理、工程管理、営業管理など多機能で、その中にスケジュール管理があります。
ただ気をつけなければいけないのは、前者を選ぶ場合、スケジュール管理はあくまで一機能である点です。色々な機能の中の一機能ですので、スケジュール管理に特化しているサービスに比べるとできない点が出てきます。
もしあなたが後者であれば、スケジュール管理に特化したソフトを選ぶのが良いでしょう。グループウェアや業界特化のソフトほど広く機能はない代わりに、「スケジュール管理」という一点に関しては多機能であり、痒いところに手が届くでしょう。
以上、現場仕事のスケジュール管理業務について解説してきました。
一言でスケジュール管理業務といっても、シフトや休暇希望の収集・スケジュール作成・スケジュール共有という3ステップに分かれており、心理的負担も大きな大変な作業となっています。
属人化とヒューマンエラーを避け、最適なスケジュール管理ができるよう、体制やツールについて見直してみてはいかがでしょうか。
弊社では「サポスケ」というスケジュール管理サービスを運営しています。現場仕事のスケジュール管理に特化しているため、機能は広くありませんが、そのぶん痒いところに手が届く設計となっております。
この記事を書いた人
2018年にPlug and Play Japan株式会社に入社、2019年に独立しPaintnote株式会社（旧Engo株式会社）設立。100社以上の会社へのヒアリングから、現場仕事におけるスケジュール管理の重要性を感じ、2023年に現場仕事向けスケジュール管理クラウド「サポスケ」を開発。
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