2023年04月03日
訪問看護の現場で負担となっている業務のひとつとして挙げられるのが、「スケジュール管理」です。複数の看護師さんのスケジュールと、患者さんの要望やスケジュールをあわせて考えなければならないためです。
万が一、抜け漏れや調整ミスがあった場合、命に直結する問題にもなりかねません。
本記事では、訪問看護のスケジュール管理における課題と効率化のポイント、便利なシステムについて解説します。
まず、訪問看護のスケジュール管理が他業態と比べて負荷になりやすい理由についてです。
理由は3つあります。
訪問看護の依頼件数は、近年の高齢化によって需要が増加傾向にあります。
現場では事業所にもよりますが、月に数百、数千のスケジュールが入ってくることもあり、他の業務の合間に調整業務を行わなければなりません。
また、人が人に提供するサービスなので、以下のようなことも日常茶飯事です。
その場合は代わりの看護師さんをあてたり、キャンセルになった枠を他の訪問にまわすなど、柔軟にスケジュールを組み直さなければなりません。
スケジュールを考える時間は、毎日のように発生します。
訪問依頼件数が増えれば増えるほど、現場ではスケジュール管理に追われることになります。結果として、人手不足により対応件数が増やせなくなってしまう可能性も考えられるでしょう。
スケジュールは単に埋まればよいというわけでもありません。なぜなら、訪問という業態上、スケジュールとスケジュールの間には移動や休憩が発生するからです。
訪問看護の利益は、1日に訪問できる件数と訪問あたりの単価によって決まります。
看護師1人あたりの1日の訪問件数は5〜6件程度とも言われています。もし、現状1日あたり4件程度の訪問が1件でも増やせれば、30日で30件×単価分の売上・利益が発生します。
1日の訪問件数は、1件の訪問時間や訪問先だけでなく、移動手段によっても大きく変わってきます。車かバイクか自転車か徒歩か、看護師ごとに考慮しなければなりません。
移動に時間がかかってしまうと、対応できる件数が減り、手間の割に利益が残らなくなってしまいます。そのため、できるだけ移動の負荷を減らして多く訪問ができるスケジュールを組むことが重要です。
「AさんはB町からC町に移動するので、間の時間はこれくらい空けておこう。Dさんは…」と1件1件ルートを考えながら、複数人のスケジュールを組み合わせる作業が積もり積もると、負担になってしまいます。
現場からは、万が一の事故が起こらないような「無難な」スケジュール調整をすることに手一杯だという声もあがっています。
訪問看護の現場で行われているスケジュール管理の手段として、「手書き(紙やホワイトボード)」「エクセル」「スケジュール調整サービス」の3つが挙げられます。
とくに、「手書き」「エクセル」が一般的でしょう。
手書きやエクセルは、ツールそのものにコストがかからないというメリットはあります。しかし、時間をかけて作り上げたスケジュールも、完全ではない場合があります。
例えば、以下のようなケースが考えられます。
また、当日に患者さんからリスケジューリングをお願いされたとします。その場合、スケジュール管理担当は、訪問のために外出している看護師さんに連絡するため、通常業務の手を止めなければなりません。
訪問中の看護師さんが業務中で電話に出られない場合、電話に出るまで掛け直しを行うなど、神経をつかうことにもなるでしょう。
このように、アナログなスケジュール管理により、付帯する業務が次々と増え、負担になるケースもあります。
とはいえ、デジタルへの移行が難しい事業所もあるでしょう。そこで次は、スケジュール管理を効率化させるためにすぐ使える「考え方」についてお伝えします。
では、訪問看護のスケジュール管理を効率化させるために必要な観点について説明します
以下、5つあります。
アポイントが詰まってくると、どうしても休憩の取れないスケジュールや、労働条件外の労働が発生するスケジュールになり、結果的に、労働基準法に反するような形になる可能性があります。
労働者に対する法律・労働条件を守った業務配分にするのは、当たり前のこととはいえ重要ポイントです。
患者さんの命や満足度も大切ですが、訪問してくれる看護師さんも生身の人間です。看護師さんの身体への負担や気持ちなども考慮してスケジュールを組むようにしましょう。
スケジュール管理を複数人で行うことで、ダブルブッキングの発生、引き継ぎ漏れ、記入内容の勘違いなどが発生する可能性が高まります。
できるだけ担当者を一元化するか、「◯◯エリアはAさん」「△△エリアはBさん」のように責任の所在が明確になるように決めることで、ミスを防ぐことができます。
また、通常業務を行う人がスケジュール管理を兼務することで、考える時間が取れなくなったり、急な残業の発生も考えられます。
できるだけ担当は専任でつけることで、ゆとりを持ってスケジュールを組む体制を作ることができるでしょう。
訪問にかかる移動距離・時間を効率化することは、訪問件数を増やしていくことにもつながります。
一方で、時間を詰めすぎて業務に支障をきたすことで、信頼・評判・口コミの低下につながってしまうことも事実です。
そこで、繰り返し発生しそうな事項をルール化することで、誰が担当になっても質の変わらないスケジュール管理を実現することが可能になります。
例えば、以下のような内容です。
移動時間や休憩時間のルール化同様に、業務や担当者の質についての考慮も必要になります。
例えば、以下のような内容です。
1つの訪問で想定以上の時間がかかってしまうと、次の訪問先に遅れる事態が発生します。また、看護師さんの得意不得意や、患者さんとの相性によっても時間は変動します。
これらの質の部分を考慮し、スケジュールに反映させる際のルールを決めておくことが重要です。
急な法事、遠方に住んでいる家族の訪問など、訪問看護では急なスケジュール変更が起こることは珍しくありません。
これは、患者さんと看護師さんのどちらに対しても考えられます。
スケジュール変更が起こったときに、都度対応を考えていると、それだけで負担になってしまいます。
何か起こったときにどのように対応するかを検討し、事前に決めておくことで、通常業務への支障を減らすことが可能です。
とくに、属人性が高い業務があり、唯一その業務ができる人が欠勤した場合、どのような対応をするかについては優先して考えておきましょう。
ここまではアナログ管理、デジタル管理問わず使える考え方に焦点を当ててきましたが、費用をかけてでもシステム化に移行することで、これらの事項を考えなくてよくなることもあります。
最後に、スケジュール管理システムを使った場合、どのようなメリットが生じるかについてまとめます。
先述したように、スケジュール管理は「手書きツール」「エクセルやGoogleスプレッドシート」などが利用されていることが多いです。
書き直しがしやすい、共有しやすい、費用がかからないなどのメリットはありますが、スケジュールを反映する前に「人が考える」手間がなくなるわけではありません。
そこで、システムを使ってスケジュール管理をしたときにどのような部分が楽になるかを挙げていきます。
スケジュール管理システムを使うことで、普段のスケジュール管理はもちろん、急な変更があっても、簡単な操作で再調整をすることができます。
看護師さんのシフトや利用者さんとの相性、スキルや移動時間など、考えなければいけない多くのことをスケジュール管理システムが記憶してくれているので、スケジュール管理の手間や、スケジュール管理で発生していた残業時間を削減できます。
スケジュール管理の手間が減っても、スケジュールを共有するための連絡に時間がかかってしまうと、現場に出ている看護師さんに電話するなど細かい手間が発生してしまいます。
スケジュール共有をシステム化することで、看護師さんはスマホでシステムを見るだけで、次にどうすればよいか一目でわかるようになり、引き継ぎの手間が省けます。
さらに、システムの中には業務完了報告も合わせて行うことができるものもあります。その場合、システムの「業務完了ボタン」を押すだけで管理者に報告することができ、現場の手間も減らすことができます。
以上、訪問看護のスケジュール管理効率化について解説してきました。
看護によって患者さんを助けることがサービスの価値なのに、スケジュール管理のような患者さんと向き合う以外の部分に時間を使うのは、できるだけ避けたいところです。
本記事に記載したヒントをもとに自社の動き方や編成、予算配分などを見直し、時間やコストをかけるところ、かけないところを見直してみてはいかがでしょうか。
弊社では「サポスケ」というスケジュール管理サービスを運営しています。スケジュール管理のサービスはいくつもありますが、とくに訪問看護、訪問介護などのどこかに誰かを派遣してお仕事をする業種の方が使いやすいように設計されているという特徴があります。
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