作成日:2023年4月4日更新日:2026年9月28日
ヘルパーさんのスケジュール管理を崩さない方法とは|限界のサインとおすすめツールは?
この記事を書いた人

Paintnote株式会社 / 代表取締役 藤井友輝
現場仕事のスケジュール管理に7年携わり、1,300社以上の相談実績をもとに「サポスケ」を開発。現場で磨いた実践的な管理ノウハウを発信中。
現場仕事のスケジュール管理とDX推進に7年携わり、会社としてこれまで累計1,300社以上のスケジュール管理の相談実績を持つ。2018年Plug and Play Japan入社後、不測の事態が多発する現場の管理実態に直面し、2019年に独立。
100社以上のヒアリングを経て、「変数の多い環境下でのスケジュール管理こそが経営の要である」と確信し、2023年にスケジュール管理アプリ「サポスケ」を開発。
現在は、スケジュール管理の最前線で磨き上げた「急な変更にも柔軟に対応できる実践的な管理ノウハウ」として発信している。

「登録ヘルパーの出勤希望が揃わず、月末になっても翌月の予定が組めない」 「利用者さんの体調で当日にキャンセルが出て、代わりのヘルパーを探すだけで午前が終わる」 「変更をLINEで送ったのに、古い予定表のまま訪問に行かれてしまった」
訪問介護事業所でスケジュールを組んでいるサービス提供責任者や管理者の方にとって、こうした「スケジュール管理」の悩みは尽きないものです。
本記事では、訪問介護のスケジュール管理が崩れやすい4つの理由を整理したうえで、崩れにくい組み方を3つのステップで解説します。結論を先に言うと、利用者の固定枠を先に置き、ヘルパーの出勤を後から当て、変更は「届いた」まで確認する、この順番と運用を決めるだけで、紙やExcelのままでも崩れ方は大きく変わります。そのうえで、人手では回らなくなったときの合図と、無料の共有ツールから介護ソフトまで7つのツールの違いを紹介します。

目次
- 訪問介護ヘルパーの1日のスケジュール
- ヘルパーの1日の流れ
- 1日の訪問件数は4〜5件。サービス時間と移動時間で変わる
- 訪問介護のスケジュール管理が崩れやすい4つの理由
- 理由①:登録ヘルパーの出勤希望が集まるまで組めない
- 理由②:利用者の希望が同じ時間帯に重なる
- 理由③:相性とスキルで入れる人が限られる
- 理由④:当日の変更が多く、伝わったかどうかが分からない
- 崩れにくい訪問介護スケジュールの組み方3ステップ
- ステップ①:利用者の固定枠を先に置く
- ステップ②:ヘルパーの出勤を後から当てる
- ステップ③:変更は「届いた」まで確認する
- 紙・Excel・ホワイトボードの限界はどこで来る?ツールを検討する3つの合図
- 合図①:予定表を作れる人が1人しかいない
- 合図②:変更を紙・電話・LINEの3経路で伝えている
- 合図③:ヘルパーが「今日どこに行くか」を事務所に聞きに来る
- 訪問介護のスケジュール管理に使えるツール7選(役割別)
- Googleカレンダー
- LINE WORKS
- スプレッドシート
- サポスケ
- ZEST
- カイポケ訪問介護
- 介舟ファミリー
- 訪問介護のスケジュール管理でよくある質問
- Q1:ヘルパーは1日に何件訪問しますか?
- Q2:ヘルパーの勤務時間は何時から何時までですか?
- Q3:訪問介護の2時間ルールとは何ですか?
- Q4:ヘルパーの移動時間は勤務時間に入りますか?
- まとめ:訪問介護のスケジュール管理は「組む順番」と「届け方」で決まる
- 訪問介護のスケジュール管理はサポスケで
訪問介護ヘルパーの1日のスケジュール

訪問介護のスケジュール管理を考える前提として、ヘルパーの1日がどう動いているかを押さえておきます。1日の流れと、1日に回る件数を決める要素を確認します。
ヘルパーの1日の流れ
訪問介護のヘルパーは、朝のミーティングで当日の予定を確認したあと、午前と午後に分けて利用者宅を回ります。一般的な1日は次のような流れです。
時刻 | 動き | 内容 |
|---|---|---|
8:30 | 出勤・朝のミーティング | 当日の訪問スケジュールと利用者の情報を確認する。直行する場合は電話で共有 |
9:00〜12:00 | 午前の訪問(2〜3件) | 起床介助、朝の排泄・着替え、デイサービスへ送り出す準備など |
12:00 | 事務所に戻って昼休憩 | 直行直帰の場合は次の訪問先の近くで休憩 |
13:15〜16:30 | 午後の訪問(2〜3件) | デイサービスからの出迎え、夕食の準備、就寝前の着替えなど |
16:45 | 事務所に戻って作業 | 当日のサービス実施記録を提出し、利用者の変化を申し送る |
17:00 | 終業 | 翌日のスケジュールを確認して退勤 |
訪問と訪問のあいだには移動が入ります。1件ごとに利用者宅で「サービス実施記録」を書き、事務所に戻る事業所では夕方にまとめて提出します。
1日の訪問件数は4〜5件。サービス時間と移動時間で変わる
ヘルパーの1日あたりの訪問件数は、平均すると4〜5件です。ただし件数は固定ではなく、次の4つで日ごとに変わります。
- サービス時間:介護保険を使った訪問介護のサービス時間は、内容によって30分〜90分と幅があります。30分のサービスを3件回るヘルパーと、90分のサービスを1件受け持つヘルパーでは、稼働時間は同じでも件数は違います。訪問看護でも構図は同じで、体調確認や服薬管理だけなら30分ほどで終わりますが、入浴介助や点滴が入ると60分以上かかることがあります
- 移動時間:都市部では徒歩や自転車、郊外では原付や車で移動します。利用者の住所は事業所が選べないため、移動を短くしようとしても限界があります
- サービス内容の変更:利用者都合のキャンセルや振替、介護保険と自費を併用した長時間の通院同行が単発で入ると、その日の件数が変わります
- 経営方針:勤務時間内にできるだけ件数を入れてヘルパーの給与を上げる方針の事業所もあれば、余裕を持たせて利用者と向き合う時間を重視する事業所もあります。人手不足の業界全体としては、件数が多くなる傾向があります
1日に4〜5件、1件30〜90分、そのあいだに移動。この構造だけでも予定表は詰まりますが、訪問介護のスケジュールが崩れるのは、件数の多さそのものが原因ではありません。この構造の上に、訪問介護特有の制約が4つ乗るからです。次章では、その崩れやすい4つの理由を解説します。
訪問介護のスケジュール管理が崩れやすい4つの理由

訪問介護のスケジュール管理が崩れやすい理由は、登録ヘルパーの出勤、利用者の希望、相性とスキル、当日の変更の4つに整理できます。どれも「予定表の書き方」ではなく「予定の決まり方」から生まれる制約です。
- 登録ヘルパーの出勤希望が集まるまで組めない
- 利用者の希望が同じ時間帯に重なる
- 相性とスキルで入れる人が限られる
- 当日の変更が多く、伝わったかどうかが分からない
理由①:登録ヘルパーの出勤希望が集まるまで組めない
崩れやすい理由の1つ目は、登録ヘルパーの出勤希望が集まるまで予定が組めないことです。
訪問介護は登録ヘルパー(非常勤)の割合が高く、「午前中だけ」「週3日、月・火・木」のように出られる時間が人によって違います。利用者の予定は決まっていても、誰が出られるかが確定しないと当てはめられません。
ヘルパー10名を管理者1人で組んでいる事業所では、出られる日時をまず紙で集め、利用者の予定に対して出る人を当て込んでいく作業も紙で行っています。ヘルパーは直行直帰が多いため、希望を書いた紙を渡すタイミングも回収するタイミングもなかなか作れません。月末までに希望を出せる職員のぶんで一度組み、他の事業所と掛け持ちしている職員の希望が後から来たら、もう一度組み直します。
つまり、訪問介護では「組む」工程の前に「希望を集める」工程があり、そこが遅れると全体が遅れます。だから、利用者の予定が固定でも組めない、という状態が起きます。
理由②:利用者の希望が同じ時間帯に重なる
崩れやすい理由の2つ目は、利用者の希望が朝と夕方に集中し、そこに条件が重なることです。
起床や朝食の介助は朝に、就寝前の介助は夕方から夜に集中します。デイサービスや訪問看護など他のサービスを受けている利用者は、その時間を避ける必要もあります。
さらに、時間帯だけでは終わりません。利用者200名弱・スタッフ15名の事業所では、「男性はだめ」「女性がいい」「午前中に来てほしい」「訪問は夕方に」「月2回で」といった要望が入り、その要望に応えられるかどうか自体が、組む側の悩みになっています。訪問看護でも、週間サービス計画を反映して一度組んだあと、ショートステイや受診、3か月に1回のリハビリ評価で予定を抜き差しする作業が毎週入ります。
同じ時間帯に、条件つきの希望が重なる。だから、空いている人を機械的に当てるだけでは組めません。
理由③:相性とスキルで入れる人が限られる
崩れやすい理由の3つ目は、利用者とヘルパーの相性やスキルによって、入れる人が限られることです。
訪問介護は人と人で成り立つサービスなので、気質が合わない組み合わせはクレームになります。静かに過ごしたい利用者に明るく元気なヘルパーを当てると「挨拶の声が大きくて嫌だ」と言われることがあります。新人のヘルパーは「安全に移動介助してもらえるか不安」と断られるケースも少なくありません。「女性ならよいが、この人だけはだめ」と個人を名指しで指定されることもあります。
その結果、担当が固定されがちになります。担当を固定すると組むのは楽になりますが、その人が休んだときに代わりがいなくなります。担当以外のヘルパーに同行してもらい、利用者と顔合わせをしておく取り組みが必要になるのはこのためです。だから、「空いている人」の中から「この利用者に入れる人」を選ぶ、という二重の絞り込みが毎回発生します。
理由④:当日の変更が多く、伝わったかどうかが分からない
崩れやすい理由の4つ目は、当日の変更が日常的に起き、しかも伝えた側が「伝わったか」を確認できないことです。
利用者の体調変化や入院、ヘルパーの欠勤で、時間をずらしたり別の人に割り当て直したりするのは日常茶飯事です。前日までに決まれば朝のミーティングで周知できますが、日中に変更が出ると、ヘルパーはサービス中か移動中で電話に出られません。管理者がヘルパーのいる利用者宅まで出向いて伝える事業所もあります。
例えば、とある15名の事業所では、週の頭に1週間分の予定を紙で配り、変更が出るとLINEか電話で本人に頼んでいます。それでも、訪問先を忘れて行かないケースがたまに起きます。訪問看護ステーションでも同じ問題があり、看護師は終業時に翌日の予定を確認して帰るため、その後に入った変更が伝わらないまま訪問時間を迎えると、2名が同じ利用者宅を訪問したり、本来行くべき家に誰も行かなかったりするトラブルにつながります。
変更そのものは避けられません。だから難しいのは変更の多さではなく、「伝えた」と「伝わった」のあいだに確認の手段がないことです。
4つの理由に共通しているのは、どれも予定表の書き方ではなく、「どの順番で組むか」と「変更をどう届けるか」が決まっていないところから生まれている点です。色分けや書式を工夫しても残ります。次章では、この2つを決める組み方を3つのステップで解説します。
崩れにくい訪問介護スケジュールの組み方3ステップ

崩れにくい訪問介護のスケジュールは、利用者の固定枠を先に置き、ヘルパーの出勤を後から当て、変更は「届いた」まで確認する、という3ステップで組みます。順番を逆にしないことがポイントです。
- 利用者の固定枠を先に置く
- ヘルパーの出勤を後から当てる
- 変更は「届いた」まで確認する
ステップ①:利用者の固定枠を先に置く
組み方の1つ目は、利用者ごとの曜日と時間の固定枠を、ヘルパーを決める前に予定表へ置くことです。
訪問介護の予定は、利用者ごとに「月・水・金の9時から1時間」のように曜日と時間が決まった繰り返しが大半です。利用者とヘルパーの組み合わせも基本は固定です。つまり、毎週ゼロから組んでいるように見えても、実際に組む必要があるのは「先週から変わった分」だけです。
10名規模の事業所では、社長が1週間分の予定をExcelで縦に組み、新規の利用者が入ったときにどこが空いているかが一目で分かるようにしています。固定枠を先に並べておけば、電話で新規の依頼が来たときに「この曜日のこの時間なら入れる」とその場で答えられます。
固定枠を先に置くと、ヘルパーの希望が集まる前でも、予定表の8割はできあがっています。残りの2割を次のステップで埋めます。
ステップ②:ヘルパーの出勤を後から当てる
組み方の2つ目は、ヘルパーの出勤希望を集める締切を決め、締切後に固定枠へ人を当てることです。
理由①で見たとおり、訪問介護は希望の回収が遅れると全体が遅れます。だから「いつまでに出すか」を先に決め、締切のあとに来た希望は「組み直し」として扱い、締切前の希望と同じ扱いにしません。この線引きがないと、月末まで予定が確定しません。
例えば、利用者とヘルパーの組み合わせが固定で、休み希望だけを毎月集めている小規模な事業所では、毎月5日までに休み希望を出してもらい、そこから1か月分を組む、と締切を日付で決めています。日付が決まっていれば、ヘルパー側も「5日までに出せば希望が通る」と分かるので、出し忘れが減ります。
人を当てるときに確認するのは次の3点です。
- 相性とスキル:理由③で挙げたNGの組み合わせと、新人には任せられないケアを避ける
- 移動時間:前の利用者宅から次の利用者宅まで、通常かかる時間を枠のあいだに入れる。移動を0分で組まない
- 2時間ルール:同じ利用者に1日2回入る場合は、訪問と訪問のあいだを2時間以上空ける(詳しくはQ&Aで解説)
固定枠が先にあるので、当てる作業は「この枠に入れる人は誰か」の判断だけになります。
ステップ③:変更は「届いた」まで確認する
組み方の3つ目は、変更を「送った」ではなく「届いた」で完了にすることです。
変更の連絡は、送った時点では終わっていません。ヘルパーは日中のほとんどをサービス中か移動中で過ごしているため、連絡を受け取れる時間が限られています。LINEの既読も「開いた」ことしか示さず、次の訪問先へ向かう前に内容を理解したかどうかは分かりません。だから、変更の完了条件を「本人が受け取ったことを確認できた」に置く必要があります。
例えば、ヘルパーが車で利用者宅を回る訪問介護事業所では、グループLINEに「今から〇〇さん宅に行ってほしい」「今から行く予定だった訪問は中止」といった連絡が日中に流れるものの、ヘルパーは運転中で見られません。そこで、緊急の変更は送った側が返事を確認し、返事がなければ電話をかける、という運用に切り替えています。
一方で、変更があった職員にだけ口頭で伝え、本人が自分の紙の予定表を書き換える、という運用の事業所もあります。この方法は「届いた」の確認が本人任せになり、書き換え忘れがそのまま訪問漏れになります。
届け方のルールは、次のように役割を分けると決めやすくなります。
変更の種類 | 手段 | 完了の条件 |
|---|---|---|
当日・翌日の緊急変更 | 電話(出なければ折り返しを待つ) | 本人と直接話した |
数日先の変更 | LINE・チャット | 本人から返信があった |
記録として残す | LINE・チャット・予定表の更新 | 予定表が最新になっている |
電話は「届く」、LINEは「残る」。役割を分けておけば、既読だけで済ませてよいものと、電話で確認しなければならないものが混ざりません。
3つのステップは、紙でもExcelでも回せます。実際、固定枠を先に置き、締切を決め、電話で確認する運用は、多くの事業所がツールなしでやっています。ただし、ヘルパーの人数と変更の回数が増えると、この運用を人手で回せなくなる時点が来ます。次章では、その「回らなくなった」合図を3つ挙げます。ツールを検討するかどうかの判断基準です。
紙・Excel・ホワイトボードの限界はどこで来る?ツールを検討する3つの合図

紙・Excel・ホワイトボードでのスケジュール管理が限界に来た合図は、作れる人が1人しかいない、変更を3経路で伝えている、ヘルパーが行き先を聞きに来る、の3つです。1つでも当てはまれば、共有だけでもツールに移す時期に来ています。
- 予定表を作れる人が1人しかいない
- 変更を紙・電話・LINEの3経路で伝えている
- ヘルパーが「今日どこに行くか」を事務所に聞きに来る
ホワイトボードで組んでいる事業所の場合、書ける範囲が直近1〜2週間に限られ、外からは見えない、という限界が先に来ます。
合図①:予定表を作れる人が1人しかいない
ツールを検討する合図の1つ目は、予定表を作れる人が1人しかいないことです。
訪問介護の予定表は、利用者の条件と相性、ヘルパーの希望をすべて頭に入れている人にしか作れません。そのため、事業所の規模にかかわらず、作る人は自然と1人に決まります。作れる人が1人だと、その人が出張や休みの日に変更が止まります。組む人の頭の中にしか情報がないので、周りに伝わっていないことにも本人が気づけません。
合図②:変更を紙・電話・LINEの3経路で伝えている
ツールを検討する合図の2つ目は、同じ予定の変更を紙・電話・LINEなど複数の経路で伝えていることです。
経路が複数あると、予定表の「正」がどれか分からなくなります。紙に書いた予定と画面の予定のどちらが最新かは、本人が変更の連絡を覚えているかどうかにかかってしまい、確認しなかった人が古い予定で動きます。経路を増やすほど確実になるように見えて、実際には「最新はどれか」を毎回確認する手間が増えるだけです。
例えば、ヘルパー10名の多くが直行直帰で動いている事業所では、シフト開始の5日前までにLINE WORKSへ予定を一度上げて確認してもらい、ヘルパーが次に事務所へ来たタイミングで紙の予定表を渡しています。ところが、そのあとの変更は紙には反映されません。
また、社長が1人で予定を組んでいる10名規模の事業所では、LINE WORKSのカレンダーに各自が自分の予定を入力する仕組みにしましたが、休んだときに自分で予定を消さない人が多く、誰がどこに行っているかが分からなくなりました。結局、常勤の職員が社長のExcelを印刷し、写真に撮ってLINEに投げる運用になり、「見づらい」と不評です。どちらのケースも、経路を足すたびに「最新はどれか」の確認が1つ増えています。
合図③:ヘルパーが「今日どこに行くか」を事務所に聞きに来る
ツールを検討する合図の3つ目は、ヘルパーが自分の行き先を事務所に聞きに来る状態になっていることです。
予定表が存在していても、ヘルパーの手元で最新の予定が見られる形になっていなければ、共有はできていません。管理者から見れば「予定表は配った」つもりでも、ヘルパー側から見れば「自分の今日の予定が分からない」状態です。聞きに来る、写真を撮って送ってもらう、電話で確かめる、というやり取りが増えていたらその裏返しです。
例えば、社長が組んだExcelの予定表を写真で共有している事業所では、「私が今日どこに行けばいいの?」とヘルパーから聞かれます。また、訪問とデイサービスを合わせて職員約20名の福祉事業所では、Googleカレンダーで共有していたところ、10名前後のうちは問題なく回っていましたが、20名に増えた時点で「つながらない人」が出ました。管理者は全員の予定を見られるのに、受け取る側は自分以外の予定が見えないため、「私1人で行くの?」と指示書を見て初めて同行者を知る、という状態になりました。
3つの合図のうち1つでも当てはまるなら、まず「共有」の部分だけでもツールに移す時期です。ただし、ツールと一口に言っても、共有だけを担うものから、組む作業を自動化するもの、記録や請求まで一体のものまで役割が違います。次章では、無料の共有ツールから介護ソフトまで7つのツールを、役割別に比較します。
訪問介護のスケジュール管理に使えるツール7選(役割別)
訪問介護のスケジュール管理に使えるツールは、「何をツールに任せるか」で3つに分かれます。共有だけを任せる無料ツール、組む作業と共有を任せるスケジュール専用ツール、記録・請求まで一体の介護ソフトです。
役割 | ツール | 管理方法の特徴 | ヘルパーへの共有 | 訪問介護向けの条件(相性NG・2時間ルール・提供票) | 無料でできる範囲 | 月額(税抜) |
|---|---|---|---|---|---|---|
共有だけ | Googleカレンダー |
|
| なし | 個人アカウントなら無料。人数制限なし | 無料 |
共有だけ | LINE WORKS |
| トークで連絡し、カレンダーを各自が確認 | なし | フリープラン30名まで。カレンダー・トーク利用可 | 無料〜 |
共有だけ | スプレッドシート |
|
| なし(表の作り方次第) | 個人アカウントなら無料 | 無料 |
組む+共有 | サポスケ |
|
| 利用者情報に条件をメモ。2時間ルールのチェック・提供票連動はなし | 無料プランなし。2週間の無料トライアル | 29,800円〜(スタッフ数で変動) |
組む+共有 | ZEST |
|
| 相性NG・スキル・時間帯を条件設定。介護ソフト連携あり | 無料プランなし。無料トライアルあり | 従量課金(要問い合わせ)。初期費用0円 |
請求まで一体 | カイポケ訪問介護 |
|
| 提供票・実績・請求と自動連動 | 無料プランなし。2か月の無料体験 | 25,000円(職員数による追加なし) |
請求まで一体 | 介舟ファミリー |
| 公式サイトに記載なし(導入前に要確認) | 介護保険・障害・自費の利用者を1画面で管理。実績が提供票に連携 | 無料プランなし。最大3か月の無料体験 | 簡易パック5,500円〜 |
※料金は各公式サイトの2026年9月時点の情報です。変動する可能性があるため、最新は各社の料金ページでご確認ください。
役割が違うと、解決する合図も違います。合図③(手元で見られない)だけなら「共有だけ」で足ります。合図①(作れる人が1人)まで来ているなら、「組む+共有」か「請求まで一体」で、組む作業そのものを軽くする必要があります。
Googleカレンダー

画像引用:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.google.android.calendar&hl=ja
Googleカレンダーは、無料で始められる共有だけを任せるツールです。共有カレンダーを1つ作り、ヘルパーごとに色を分けて予定を入れれば、各自のスマホから自分の予定を確認できます。繰り返し設定で固定枠を登録できるので、ステップ①の「固定枠を先に置く」は再現できます。
訪問介護向けの条件(相性NGや2時間ルールのチェック)はありません。また、10名前後までは問題なく回っていた事業所でも、20名に増えた時点で閲覧権限の設定が追いつかず、自分以外の予定が見えない職員が出ています。向いているのは10名前後までの事業所で、まず「聞きに来る」状態をなくしたい場合です。
Googleカレンダーの料金を見る(Google Workspace)
LINE WORKS

画像引用:https://line-works.com/guidelines/
LINE WORKSは、ヘルパーとの連絡と予定の共有を1つのアプリにまとめられるツールです。LINEと同じ操作感のトークに加えてカレンダーがあり、変更の連絡と予定の確認を行き来せずに済みます。理由④で挙げた「LINEで送ったが古い予定表で動いた」を、連絡と予定表を同じ画面に置くことで減らせます。
注意点は、カレンダーは各自が入力する前提だという点です。各自入力に頼ると、休んだときに予定を消さない人が出て、誰がどこに行っているかが分からなくなった事業所があります。管理者が予定を一括で入れ、ヘルパーは見るだけ、という運用にするか、予定表は別に持ってトークだけをLINE WORKSにするか、役割を決めてから導入する必要があります。
向いているのは、連絡手段を個人のLINEから会社のアカウントに移したい事業所です。
スプレッドシート

画像引用:https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/p/excel/cfq7ttc0pbmf
スプレッドシートは、いま使っているExcelの予定表をそのままクラウドに持ち込めるツールです。左の列に担当者、横軸に15分単位の時間、1週間分をシートに並べる、といったExcelの表をそのまま読み込めるので、表の作り方を変えずに「印刷して配る」をやめられます。複数人で同時に編集できるため、作れる人を1人から2人に増やすことにもつながります。
無料の個人アカウントで使えます。Google Workspaceにする場合の料金はGoogleカレンダーと同じです。
変更の通知機能はないので、変更を伝える手段は別に必要です。相性や2時間ルールのチェックも表の作り方次第です。向いているのは、Excelの表に慣れていて、まず配布と同時編集だけを解決したい事業所です。
関連記事:訪問看護のスケジュール管理はエクセルで簡単作成!その方法を紹介
スプレッドシートの料金を見る(Google Workspace)
サポスケ

画像引用:https://saposuke.jp/
サポスケは、現場にスタッフを派遣するタイプの企業向けに、スケジュール管理だけに特化したツールです。利用者ごとに「月・水・金の9時から1時間、担当は〇〇さん」というパターンを登録しておくと、週の予定をワンクリックで生成できます。生成したあとは、変わった分だけをドラッグで動かします。予定ごとに必要人数を設定しておくと、人が足りない予定はスタッフ一覧カレンダーの「未割当」欄に集まり、カードに不足人数が赤い数字で表示されます。
変更は保存した時点でスタッフアプリにプッシュ通知が届きます。カレンダーはスタッフ軸・利用者軸・日付軸など4つのビューに切り替えられるので、「この利用者に次に誰がいつ行くか」を利用者側から見ることもできます。
「男性NG」「特定スタッフNG」「資格要件」といった条件は、利用者情報のカスタム項目として登録しておき、組むときに人が見て判断する形です。(オプションのAI機能では可能)
ZEST

画像引用:https://zest.jp/?slid=2d621f57fbe3407999d0eb67d96ac559
ZESTは、訪問看護・訪問介護向けに、条件を登録してスケジュールを自動作成するツールです。利用者の希望時間、ヘルパーの勤務シフト、相性NG、必要なスキル、移動時間を条件として登録すると、それらをすべて満たす予定案が作られます。理由②③で挙げた「条件つきの希望が重なる」「入れる人が限られる」を、人の頭ではなくシステムに判定させる考え方です。
1件だけの変更はドラッグ&ドロップで動かせ、スキルが足りない・移動時間が足りない組み合わせにはアラートが出ます。カイポケなど介護ソフトとの連携もあります。公式サイトには「スマートフォン対応」とありますが、ヘルパーが自分の予定を見られるのか、変更したときに通知が届くのかは記載がないため、導入前に確認が必要です。
カイポケ訪問介護

画像引用:https://ads.kaipoke.biz/login/
カイポケ訪問介護は、記録・請求とスケジュールを1つのソフトで持てる介護ソフトです。シフト作成では、訪問介護計画書からサービス予定を引用し、曜日と担当者の固定パターンを登録して予定を組みます。ステップ①の「利用者の固定枠を先に置く」を、計画書とパターン登録で行う形です。介護保険の訪問だけでなく、障害福祉・保険外・個別業務も同じ画面で一括管理でき、利用者向けのカレンダーも作成できます。
組んだシフトに不整合があるとアラートで表示され、見逃しを防げます。急な変更は場所を問わずシフトを調整でき、訪問予定と連動してヘルパーに自動で共有されます。
介舟ファミリー

画像引用;https://carerobot.kanafuku.jp/ict/tool011.html
介舟ファミリーは、訪問介護・障害福祉・自費サービスの利用者を1つの画面で管理できる介護ソフトです。スケジュールは月間・週間・日ごとに調整でき、未割当・訪問済・訪問不可を色分けして表示します。空き時間や未割当のスタッフを一覧で確認できるので、ステップ②の「枠に入れる人は誰か」を画面上で探せます。実績は提供票に連携します。
介護保険と自費のサービスを同じ利用者に提供している事業所では、介護保険分しか介護ソフトに入らず、自費分はExcelで拾っている、という状態が起きがちです。介舟ファミリーはその両方を1画面で持てる点が違いです。向いているのは、介護保険・障害・自費が混在している事業所です。
訪問介護のスケジュール管理でよくある質問
Q1:ヘルパーは1日に何件訪問しますか?
平均すると1日4〜5件です。ただし、サービス時間(30〜90分)、移動時間、当日のキャンセル、事業所の方針で日ごとに変わります。30分の生活援助を中心に回るヘルパーは件数が増え、90分の身体介護を受け持つヘルパーは件数が減ります。件数だけで負担を比べることはできないため、スケジュール表では件数ではなく、サービス時間と移動時間の合計で稼働を見ることをおすすめします。
Q2:ヘルパーの勤務時間は何時から何時までですか?
常勤のヘルパーは8:30〜17:00前後が基本です。ただし、起床介助は朝6〜7時、就寝前の介助は夜19〜20時に必要になるため、事業所としては早朝と夜間の枠を持つことが多くなります。早朝・夜間の枠は、その時間帯に出られる登録ヘルパーで埋めるのが一般的です。ステップ②で希望の締切を決めるときは、早朝・夜間に出られる人を先に確認しておくと、埋まらない枠が減ります。
Q3:訪問介護の2時間ルールとは何ですか?
同じ利用者に1日に2回以上訪問する場合、訪問と訪問のあいだを2時間以上空けなければならない、という介護報酬の算定上の決まりです。2時間空いていない場合は、2回の訪問を合わせて1回の訪問として算定するため、単位数が下がります。緊急時や看取り期の対応、通院等乗降介助は対象外です(厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」の留意事項による)。朝と昼に同じ利用者へ入る予定を組むときは、ステップ②で間隔を確認してください。
Q4:ヘルパーの移動時間は勤務時間に入りますか?
事業所の指示で利用者宅から次の利用者宅へ移動する時間は、労働時間に当たります。厚生労働省の通知「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」(平成16年基発第0827001号)では、事業所が業務として移動を命じ、その時間の自由利用が保障されていない場合の移動時間は労働時間として扱うとされています。移動時間を0分で組んだ予定表は、ヘルパーの負担だけでなく、労働時間の管理の面でも問題になります。ステップ②で移動時間を枠のあいだに入れるのはこのためです。
まとめ:訪問介護のスケジュール管理は「組む順番」と「届け方」で決まる
訪問介護のスケジュール管理が崩れる理由は、登録ヘルパーの希望が集まらない、利用者の希望が重なる、相性で入れる人が限られる、当日の変更が伝わったか分からない、の4つでした。どれも予定表の書き方ではなく、予定の決まり方から生まれる制約です。
だから、崩れにくくする方法も書き方ではなく順番です。利用者の固定枠を先に置き、ヘルパーの出勤希望の締切を決めて後から当て、変更は「届いた」まで確認する。この3ステップは紙でもExcelでも回せます。
作れる人が1人しかいない、変更を3経路で伝えている、ヘルパーが行き先を聞きに来る。この3つの合図が出たら、共有だけでもツールに移す時期です。共有だけなら無料ツールで足り、組む作業まで軽くしたいならスケジュール専用ツール、請求まで一体にしたいなら介護ソフト、と役割で選べば、自事業所に合わないツールを入れて使われなくなることは避けられます。
訪問介護のスケジュール管理はサポスケで

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