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2026年6月13日

【完全版】訪問看護事業で負担となるスケジュール管理を効率化する方法

コラムその他

訪問看護の現場で負担となっている業務のひとつとして挙げられるのが、「スケジュール管理」です。複数の看護師さんのスケジュールと、患者さんの要望やスケジュールをあわせて考えなければならないためです。

万が一、抜け漏れや調整ミスがあった場合、命に直結する問題にもなりかねません。

本記事では、訪問看護のスケジュール管理における課題と効率化のポイント、便利なシステムについて解説します。

目次

訪問看護のスケジュール管理が負担となる3つの理由

まず、訪問看護のスケジュール管理が他業態と比べて負荷になりやすい理由についてです。

理由は3つあります。

負担になる理由

主な原因

スケジューリング量が多い

高齢化による依頼増加・急な変更の多さ

訪問ルートの調整が必要

移動・休憩を挟んで件数を最大化する難しさ

管理ツールを扱う手間

紙・エクセルなどアナログ運用の限界

①:スケジューリング量の増加により手間も増えている

訪問看護の依頼件数は、近年の高齢化によって需要が増加傾向にあります。

現場では事業所にもよりますが、月に数百、数千のスケジュールが入ってくることもあり、他の業務の合間に調整業務を行わなければなりません。

また、人が人に提供するサービスなので、以下のようなことも日常茶飯事です。

  • 訪問する看護師さんの事情でお休みを取らなければいけなくなった
  • 看護師さんと患者さんの相性が悪く、別の人をあてなければいけなくなった
  • 患者さんの事情でアポイントがキャンセルになった
  • 患者さんの体調の急変で、急遽訪問が必要になった

その場合は代わりの看護師さんをあてたり、キャンセルになった枠を他の訪問にまわすなど、柔軟にスケジュールを組み直さなければなりません。

スケジュールを考える時間は、毎日のように発生します。

訪問依頼件数が増えれば増えるほど、現場ではスケジュール管理に追われることになります。結果として、人手不足により対応件数が増やせなくなってしまう可能性も考えられるでしょう。

②:訪問ルートを調整する手間がかかる

スケジュールは単に埋まればよいというわけでもありません。なぜなら、訪問という業態上、スケジュールとスケジュールの間には移動や休憩が発生するからです。

訪問看護の利益は、1日に訪問できる件数と訪問あたりの単価によって決まります。

看護師1人あたりの1日の訪問件数は5〜6件程度とも言われています。もし、現状1日あたり4件程度の訪問が1件でも増やせれば、30日で30件×単価分の売上・利益が発生します。

1日の訪問件数は、1件の訪問時間や訪問先だけでなく、移動手段によっても大きく変わってきます。車かバイクか自転車か徒歩か、看護師ごとに考慮しなければなりません。

移動に時間がかかってしまうと、対応できる件数が減り、手間の割に利益が残らなくなってしまいます。そのため、できるだけ移動の負荷を減らして多く訪問ができるスケジュールを組むことが重要です。

「AさんはB町からC町に移動するので、間の時間はこれくらい空けておこう。Dさんは…」と1件1件ルートを考えながら、複数人のスケジュールを組み合わせる作業が積もり積もると、負担になってしまいます。

現場からは、万が一の事故が起こらないような「無難な」スケジュール調整をすることに手一杯だという声もあがっています。

③:スケジュール管理ツールを扱う手間がかかる

訪問看護の現場で行われているスケジュール管理の手段として、「手書き(紙やホワイトボード)」「エクセル」「スケジュール調整サービス」の3つが挙げられます。

とくに、「手書き」「エクセル」が一般的でしょう。

手書きやエクセルは、ツールそのものにコストがかからないというメリットはあります。しかし、時間をかけて作り上げたスケジュールも、完全ではない場合があります。

例えば、以下のようなケースが考えられます。

  • 他の人が見ると、もっと効率の良いまわり方が数多く見つかった
  • 緊急訪問が多く、考えたスケジュールとはまったく違うスケジュールになった
  • 手書きが見づらかったために読み間違いが起こり、看護師さんや患者さんに迷惑がかかってしまった

また、当日に患者さんからリスケジューリングをお願いされたとします。その場合、スケジュール管理担当は、訪問のために外出している看護師さんに連絡するため、通常業務の手を止めなければなりません。

訪問中の看護師さんが業務中で電話に出られない場合、電話に出るまで掛け直しを行うなど、神経をつかうことにもなるでしょう。

ある訪問看護ステーションでは、紙の手書きからエクセルの印刷運用、さらにスプレッドシートへと、まさに移行の途中で運用が混在していました。印刷したシートは固定の予定には向くものの、緊急が入るたびに余白へ書き足すことになり、結局ごちゃごちゃして見づらくなってしまうとのことでした。

さらに「シートの印刷に時間がかかり、1か月先の予定を入れたくても入れ込めない」という、アナログ運用ならではの悩みも語られています。

こうしたツールの扱いにくさが、付帯する作業を次々と生み、負担を膨らませていきます。

このように、アナログなスケジュール管理により、付帯する業務が次々と増え、負担になるケースもあります。

とはいえ、デジタルへの移行が難しい事業所もあるでしょう。そこで次の章では、ツールを変えなくても使える「組み方の基本」から見ていきます。

訪問看護のスケジュールの基本的な組み方

効率化の考え方に入る前に、訪問看護のスケジュールを組む基本的な流れを押さえておきましょう。大枠から細部へと段階的に組むことで、抜け漏れや組み直しの手間を減らせます。

月間・週間で大枠を決め、1日単位で詰める

まずは月間・週間で、曜日や時間帯ごとの訪問枠を大まかに固めます。安定して同じ曜日・時間に訪問する患者さんを先に置くと、土台が崩れにくくなります。

そのうえで、1日単位では移動と休憩を含めて詰めていきます。前述のとおり1人あたり1日5〜6件が一つの目安ですが、件数を追いすぎると遅れが連鎖し、サービスの質や評判に響きます。移動時間や休憩を無理に削らず、現実的に回れる件数で組むことが大切です。

段階

決めること

ポイント

月間・週間

定期訪問の枠・担当の割り当て

安定した予定から先に固める

1日単位

訪問順・移動ルート・休憩

件数を詰めすぎず移動時間を確保する

当日

急な変更・キャンセル対応

振り替え先をあらかじめ決めておく

担当制とチーム制を使い分ける

訪問看護のスケジュールは、「担当制」と「チーム制」のどちらを軸にするかで組み方が変わります。

  • 担当制:患者さんごとに決まった看護師さんが訪問する。信頼関係を築きやすい反面、その人が休むと代わりを立てにくい
  • チーム制:複数の看護師さんで患者さんを支える。柔軟に組み替えられる反面、情報共有を丁寧に行う必要がある

どちらか一方に寄せる必要はありません。安定した患者さんは担当制、変更が多い患者さんはチーム制、というように患者さんの状態にあわせて使い分けると、急な欠勤や変更にも対応しやすくなります。

実際の現場でも「安定して予定どおり動ける患者さんと、ずっと予定が動き続ける患者さんが半々」という状況です。すべてを同じやり方で管理しようとすると無理が出るため、状態に応じた組み方の切り替えが現場では効いてきます。

訪問看護のスケジュール管理を効率化させる5つの考え方

では、訪問看護のスケジュール管理を効率化させるために必要な観点について説明します

以下、5つあります。

  1. 法律・労働条件を守る
  2. スケジュール管理はできるだけ専任担当が一元管理する
  3. 看護師さんの移動時間や休憩時間を記録・ルール化しておく
  4. 訪問内容・業務時間・担当看護師さんのスキルや相性を考慮する
  5. スケジュール変更時の対応を準備しておく

①:法律・労働条件を守る

アポイントが詰まってくると、どうしても休憩の取れないスケジュールや、労働条件外の労働が発生するスケジュールになり、結果的に、労働基準法に反するような形になる可能性があります。

労働者に対する法律・労働条件を守った業務配分にするのは、当たり前のこととはいえ重要ポイントです。

患者さんの命や満足度も大切ですが、訪問してくれる看護師さんも生身の人間です。看護師さんの身体への負担や気持ちなども考慮してスケジュールを組むようにしましょう。

②:スケジュール管理はできるだけ専任担当が一元管理する

スケジュール管理を複数人で行うと、ダブルブッキングや引き継ぎ漏れ、記入内容の取り違えが起こりやすくなります。担当を一元化するか、「◯◯エリアはAさん」のように責任の所在を明確にすることで、ミスを防げます。

ただし、一元管理には負担の集中という落とし穴もあります。中には、十数名分のシフトを管理者がほぼ1人で担っており、常に予定に張り付いていなければならない状態のステーションもあります。

一元管理を選ぶなら、その担当を専任に近い形にして、考える時間を確保できる体制をあわせて整えることが望ましいでしょう。

③:看護師さんの移動時間や休憩時間を記録・ルール化しておく

訪問にかかる移動距離・時間を効率化することは、訪問件数を増やしていくことにもつながります。

一方で、時間を詰めすぎて業務に支障をきたすことで、信頼・評判・口コミの低下につながってしまうことも事実です。

そこで、繰り返し発生しそうな事項をルール化することで、誰が担当になっても質の変わらないスケジュール管理を実現することが可能になります。

例えば、以下のような内容です。

  • よく移動が発生するA町からB町は30分の時間を見ておく
  • 12時前後の移動が発生する場合は、昼休憩1時間を必ず入れる

④:訪問内容・業務時間・担当看護師さんのスキルや相性を考慮する

移動や休憩と同じように、業務内容や担当者の質も考慮が必要です。次のような点を踏まえて割り当てると、遅れや行き違いを減らせます。

  • 訪問内容はどのようなもので、どれくらい時間がかかるか
  • 担当看護師さんがその業務に対応でき、時間内に終えられるか
  • 患者さんと相性の合う看護師さんを割り当てられているか

とくに患者さんの要望が多い現場では、この「割り当ての条件」が複雑になります。よくある内容では、「男性は不可」「午前中は電話を控えてほしい」「訪問は夕方がよい」「月2回まで」といった個別の要望が数多くあり、それらを満たす担当を選ぶこと自体が大きな負担になるケースです。

こうした条件を整理してから割り当てる工夫が、現場では欠かせません。

⑤:スケジュール変更時の対応を準備しておく

急な法事、遠方に住んでいる家族の訪問など、訪問看護では急なスケジュール変更が起こることは珍しくありません。

これは、患者さんと看護師さんのどちらに対しても考えられます。

スケジュール変更が起こったときに、都度対応を考えていると、それだけで負担になってしまいます。

何か起こったときにどのように対応するかを検討し、事前に決めておくことで、通常業務への支障を減らすことが可能です。

とくに、属人性が高い業務があり、唯一その業務ができる人が欠勤した場合、どのような対応をするかについては優先して考えておきましょう。

ここまではアナログ管理、デジタル管理問わず使える考え方に焦点を当ててきましたが、費用をかけてでもシステム化に移行することで、これらの事項を考えなくてよくなることもあります。

最後に、スケジュール管理システムを使った場合、どのようなメリットが生じるかについてまとめます。

スケジュール管理システムでできること・導入時の注意点

ここまではツールを変えずに使える考え方を紹介してきました。ただ、費用をかけてシステム化することで、こうした調整そのものを軽くできる場合もあります。最後に、システムを使うと何が楽になるかと、導入時の注意点を整理します。

できること①:スケジュール調整・変更の手間が減る

スケジュール管理システムを使うと、普段の調整はもちろん、急な変更があっても少ない操作で組み直せます。看護師さんのシフトや患者さんとの相性、スキル、移動時間など、考えるべき条件をシステム側が記憶してくれるため、調整にかかる時間や残業を減らせます。

できること②:スケジュール共有の手間が減る

調整の手間が減っても、共有のための連絡に時間がかかれば、現場の看護師さんへ電話するなど細かな手間が残ります。共有をシステム化すれば、看護師さんはスマホで画面を見るだけで次の動きがわかり、引き継ぎの手間が省けます。なかには業務完了の報告までボタン1つで行えるものもあり、現場と管理者の双方の負担を減らせます。

導入時の注意点:自社の運用にあうかを確認する

一方で、システムなら何でも解決するわけではありません。介護ソフトのなかには、スケジュール部分が入力するだけの機能にとどまり、相性や条件にもとづく割り当てまではできないものもあります。実際に「介護ソフトはあくまで入力するだけで、ルール付けまではできない」という声も現場から聞かれました。

導入を検討する際は、次の点を自社の運用と照らしてください。

  • 相性や時間などの条件を踏まえた割り当てができるか
  • 移動ルートや距離を考慮できるか
  • 既存の介護ソフトとデータを連携できるか
  • 看護師さんがスマホで無理なく使えるか

なお、ICTの導入には国や自治体の補助金・助成金を活用できる場合があります。条件や受付状況は変わるため、利用を検討する際は必ず公式の情報を確認してください。

訪問看護のスケジュール管理は、エクセルでの作成方法を工夫するだけでも改善できる部分があります。

エクセルでの具体的な作り方は訪問看護のスケジュール管理はエクセルで簡単作成!その方法を紹介

リハビリを含む医療系のシステム選びはリハビリのスケジュール管理システムおすすめ9選|機能・選び方・活用法を解説であわせて解説しているので合わせてご覧ください。

スケジュール管理を効率的に行い患者さんと向き合うことに時間を活用

以上、訪問看護のスケジュール管理効率化について解説してきました。

看護によって患者さんを助けることがサービスの価値なのに、スケジュール管理のような患者さんと向き合う以外の部分に時間を使うのは、できるだけ避けたいところです。

本記事に記載したヒントをもとに自社の動き方や編成、予算配分などを見直し、時間やコストをかけるところ、かけないところを見直してみてはいかがでしょうか。

弊社では「サポスケ」というスケジュール管理サービスを運営しています。スケジュール管理のサービスはいくつもありますが、とくに訪問看護、訪問介護などのどこかに誰かを派遣してお仕事をする業種の方が使いやすいように設計されているという特徴があります。

もし現場の負荷を減らすことに興味がございましたら、こちらのボタンから詳細資料のダウンロードができますので、ご参照ください。

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この記事を書いた人

藤井友輝

Paintnote株式会社 / 代表取締役 藤井友輝

現場仕事のスケジュール管理とDX推進に7年携わり、会社としてこれまで累計1,300社以上のスケジュール管理の相談実績を持つ。2018年Plug and Play Japan入社後、不測の事態が多発する現場の管理実態に直面し、2019年に独立。

100社以上のヒアリングを経て、「変数の多い環境下でのスケジュール管理こそが経営の要である」と確信し、2023年にスケジュール管理アプリ「サポスケ」を開発。

現在は、スケジュール管理の最前線で磨き上げた「急な変更にも柔軟に対応できる実践的な管理ノウハウ」として発信している。

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