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作成日:2026年9月28日

フィールドサービスの管理アプリ6選|網羅できる範囲で選ぶ

コラムExcel

この記事を書いた人

藤井友輝

Paintnote株式会社 / 代表取締役 藤井友輝

現場仕事のスケジュール管理に7年携わり、1,300社以上の相談実績をもとに「サポスケ」を開発。現場で磨いた実践的な管理ノウハウを発信中。

フィールドサービスの管理アプリ6選|網羅できる範囲で選ぶ

「訪問日を決めたのに、お客様の都合で前日に動く」 「定期点検の予定は前年のファイルで作れるのに、誰が行くかだけが毎回決まらない」 「現場が終わってから、報告書と見積の作成で夜まで事務所にいる」

顧客先へスタッフを出して設置・保守・修理を行う事業で、フィールドサービスの管理を担当されている方にとって、こうした訪問の段取りと後処理の悩みは尽きないものではないでしょうか。

フィールドサービスの管理アプリは、機能の多さではなく「受付から請求までの5つのうち、どこを任せるか」で選びます。 手作業が残るのは、顧客都合で崩れる予定側と、現場が終わったあとの報告書・写真・見積という記録側の2か所です。

本記事では、対象・範囲・担い手の3つで自社が当てはまるかを確かめたうえで、6つの選び方で手作業のありかから候補を絞り、任せる範囲で分けたアプリ6選を比較します。

目次

フィールドサービスの管理は、対象・範囲・担い手で見分ける

フィールドサービスの管理とは、顧客先に人を出して行う業務について、依頼の受付から作業の割り当て、指示、報告、請求までを回すことです。 英語の Field Service Management を略して「FSM」とも呼ばれます。

自社が当てはまるかどうかは、管理する対象・管理する範囲・管理の担い手の3つを見れば分かります。

対象:顧客先へ人を出して行う業務

管理する対象は、顧客先へ人を出して行う業務です。自社の事務所ではなく、顧客のいる場所で完結させる業務が当てはまります。具体的には設置・定期保守・修理の3つで、それぞれ予定の決まり方が違います。

業務

内容

予定の決まり方

設置

購入された機器を顧客先へ運び、据え付けて動く状態にする

納品日から逆算して決まる

定期保守

契約に基づいて定期的に点検・メンテナンスを行う

周期が先に決まっている

修理(Break/Fix)

故障の連絡を受けて訪問し、その場で直す

連絡が来た時点で決まる

前もって組めるのは定期保守だけです。周期が契約や法令で先に決まっているためで、設置は納品のタイミング次第、修理は故障の発生次第と、どちらも自社のカレンダー上に先置きできません。

例えば、法令で定められた点検を請け負う設備点検の会社では、6ヶ月に1回の点検が必要になります。今年の8月に点検したら半年後にも点検し、さらに1年後の8月にも点検する、という繰り返しです。日付の骨格が先に決まっているため、去年のファイルを使い回すだけでだいたいの予定は組めます。先に組めるのはこの定期保守の部分だけで、設置と修理はここに後から差し込まれていきます。

この3つをしていれば、業種は問いません。設備工事、ビルメンテナンス、消防設備、空調、通信工事、電気工事、害虫駆除、造園、医療機器、事務機器と広く分布しますが、どれも同じ形の管理になります。変わるのは、扱う対象が設備なのか建物なのかによる道具の選び方です。設備1台ごとの点検周期から管理したい方は

  1. 設備メンテナンスのスケジュール管理アプリ10個を徹底比較、
  2. ビルメンテナンスのスケジュール管理アプリ17選、
  3. 製造業のスケジュール管理|工程管理を「見える化」するツールの選び方とおすすめ10選

範囲:受付から請求までの5つの工程

管理する範囲は、受付から請求までの5つの工程です。依頼が入ってから入金につながるまでを指しており、予定を組むところだけを切り出しても、フィールドサービスの管理にはなりません。

#

工程

中身

1

受付

定期契約の周期と、顧客から入る依頼を1か所で受ける

2

割り当て

誰をどこへ、いつ行かせるかを決める

3

作業指示

現場で必要な手順書・図面・過去の履歴を渡す

4

報告

作業内容と写真を記録し、顧客へ提出する

5

請求

作業の実績を売上として集計し、請求につなげる

5つが1本につながっている必要はありません。 受付はメール、割り当てはExcel、報告は紙、請求は会計ソフト、と別々の場所で回している会社がほとんどです。それでもフィールドサービスの管理は成り立ちます。1本につなぐかどうかは道具が決める話であって、定義には含まれません。

ただし別々の場所にあるぶん、同じ情報を何度も書き写す手間が生まれます。この書き写しをなくすことが、道具を入れる目的です。

担い手:社内で5つを回している人

管理の担い手は、社内で5つを回している人です。専任である必要も、そう呼ばれている必要もありません。

フィールドサービスは、もともと英語圏の業務区分をそのまま持ち込んだ言葉です。日本では「保守の段取り」「点検の割り振り」「アフターサービスの管理」といった呼び方のほうが定着しており、担当されている方自身が「うちはフィールドサービスではない」と感じることがあります。

判断の基準は呼び方ではありません。受付から請求までの5つを、誰かが人手で回しているかどうかです。回しているなら、その人がフィールドサービスの管理の担い手です。

対象・範囲・担い手の3つで見たとき、5つの工程のうち起点になるのは受付と割り当てです。そして対象の3業務のうち、前もって組めるのは定期保守だけでした。設置と修理は、訪問日を顧客と決めることになります。

つまり、フィールドサービスの予定は社外の都合で動く部分を必ず抱えているということです。だからこそ、選ぶ基準は機能の数ではなく、自社のどこに手作業が残っているかになります。次章では、その6つの選び方を示します。

フィールドサービスの管理アプリの選び方

選び方は6つあります。どれを使うかは、自社のどこに手作業が残っているかで決まります。次の6つを自社に当てはめてください。

当てはまる状態

場所

①

訪問日を顧客が決めていて、社内では確定できない

予定側

②

定期の日付は使い回せても、誰が行くかが毎回決まらない

予定側

③

組み終わった予定に、予定表の外から割り込みが入る

予定側

④

現場がいつ終わるかが、当日にならないと分からない

予定側

⑤

報告書と写真を、事務所に戻ってから作っている

記録側

⑥

実績を予定表とは別の場所へ書き写している

記録側

①〜④は予定側、⑤⑥は記録側の手作業です。どちらがどれだけ重いかで、選ぶアプリが変わります。

選び方①:訪問日を社内で確定できないなら、空き枠が一覧で見えるアプリ

選び方の1つ目は、訪問日を顧客が決めていて社内では確定できない場合に、空き枠が一覧で見えるアプリを選ぶことです。

社内の会議であれば、参加者の予定を突き合わせて日付を決められます。しかしフィールドサービスの訪問日は、相手先に人がいる日、機械を止められる日、立ち会える日でなければ成立しません。決定権が社外にあるため、社内でどれだけ予定を整えても、それだけでは確定しないのです。

例えば、現場スタッフ約50名で消防点検と排水管洗浄を手がけるビルメンテナンスの会社では、月ごとの対象リストは先にできあがります。それでも誰が何日に行くかは、「自分がいない日」「いる日」という顧客側の希望と調整しながら担当者が決めていきます。リストがあることと、日付が決まることは別なのです。

この調整が管理側を圧迫することもあります。同じ会社では、排水管洗浄の指定日に不在だった居住者から別日を希望する電話が多数入り、朝から晩まで鳴り止まずに事務方の業務が止まってしまうという状態になっていました。希望は金曜・土曜・日曜に集中し、その枠が埋まったあとも問い合わせは続きます。決定権が社外にあると、日付が決まらないだけでなく、決め直しの手間が社内側に集まってきます。

決め直しが前提になるため、必要なのは空いている枠がその場で見えて、日付を差し替えられることです。予定をきれいに組み上げる機能よりも、組み替えの速さが効きます。

選び方②:誰が行くかが毎回決まらないなら、人単位で割り当てられるアプリ

選び方の2つ目は、定期の日付は使い回せても誰が行くかが毎回決まらない場合に、人単位で割り当てられるアプリを選ぶことです。

定期保守は周期が決まっているため、日付そのものは前年のファイルから写せます。ところが、その日に誰を行かせるかは写せません。担当者の退職や異動、当日の体調不良、他案件との重なりによって、人の組み合わせは毎年変わるためです。使い回せる部分と使い回せない部分の境目が、人の割り振りにあります。

例えば、設備点検を手がける20〜30名規模の会社では、Excelの管理をしているのは1名です。去年のファイルの使い回しでだいたいのことはできるものの、そこに誰が行くかという人の割り振りと、多少の日時のズレに合わせた細かい修正の作業が、その1人に発生している状態でした。日付の骨格が使い回せることと、予定が完成することのあいだには、人を当てる工程がまるごと残ります。

残るのが人を当てる工程なので、必要なのは予定を人単位で並べて、空いている人に割り当てられることです。日付を写す機能では、この工程は減りません。

工期の長さが案件ごとに大きくばらつく業種では、この当て方がさらに難しくなります。数ヶ月続く案件と1日で終わる案件が同じ表に並ぶためです。

選び方③:予定表の外から割り込みが入るなら、受付をそのまま予定にできるアプリ

選び方の3つ目は、組み終わった予定に予定表の外から割り込みが入る場合に、受付をそのまま予定にできるアプリを選ぶことです。

修理の依頼は、発生した時点で連絡が来ます。組み終わった予定の上に後から乗るため、既存の訪問をずらすか、別の人を当てるかの判断がその場で必要です。しかも依頼の入口が予定表の外にあると、割り込みが表に反映されないまま当日を迎えます。

例えば、固定とスポットの両方を扱うビルメンテナンスの会社では、年間で決まっている物件は前年度のスケジュールを見て落とし込めます。一方で、それ以外の物件は「この日に作業へ入りたい」と顧客から連絡が来るため、ほぼ流動的です。割り込みは例外ではなく、予定の半分を占める常態です。

同じ会社では、休日に依頼を受け取って手帳にメモしたものの、休みだったためExcelに反映されないまま、作業日になって営業が気づいたことがありました。入口が電話・メール・手帳と分かれていると、依頼を受けたこと自体が予定表に届きません。

原因は入口が分かれていることなので、必要なのは受けた依頼をその場で予定に変えられることです。入口が1つになれば、割り込みは表の中で起きます。

選び方④:終了時刻が当日まで分からないなら、スマホで開始と終了を記録できるアプリ

選び方の4つ目は、現場がいつ終わるかが当日にならないと分からない場合に、スマホで開始と終了を記録できるアプリを選ぶことです。

作業時間は、現地の状況で変わります。想定より劣化が進んでいた、部品が合わなかった、立ち会いの担当者が捕まらなかった、といった事情はどれも訪問してから判明します。終了時刻が読めないため、次の訪問も、帰社後の作業も、前もって確定した時間に置けません。

終了時刻が読めない状態は、直行直帰が前提の業種でより強く出ます。例えば、消防署や市役所などを清掃しているビルメンテナンスの会社では、現地から直行して直帰するためタイムカードがありません。その把握のために、いまは全部手書きにするか、スタッフに電話をワン切りしてもらうという方法を取っていました。いつ始まっていつ終わったのかが仕組みとして取れていないと、予定と実際のズレは記録に残らないまま消えていきます。

読めないものを前もって読もうとしても外れるため、必要なのは実際に始まった時刻と終わった時刻が後から残ることです。ズレが記録に残れば、次に予定を組むときの見込みが立ちます。

ここまでの4つは、どれも予定表の書き方ではなく、訪問日の決定権が社外にあることから生まれます。表の色を変えても、様式を整えても残ります。

関連記事:現場のスタッフスケジュール管理|3ステップと効率化ツール

選び方⑤:報告書と写真を戻ってから作っているなら、現地で提出できるアプリ

選び方の5つ目は、報告書と写真を事務所に戻ってから作っている場合に、現地で提出できるアプリを選ぶことです。現地でできることと、戻らないとできないことが分断されている状態が当てはまります。

写真を撮る、現物を確認する、使った部品を数えるところまでは現地でできます。戻らないとできないのは、撮った写真を報告書の枠に貼り、Excelを仕上げる作業です。この分かれ方が固定されている限り、現場が早く終わっても事務所に戻る時間は減りません。夜に事務所へ戻ってから見積の作成や翌日の準備で2〜3時間を費やし、残業が月80時間を超えるという声も、サービスエンジニアとして働く人から聞かれます。

例えば、年1〜2回の大規模清掃を協力会社と分担しているビルメンテナンスの会社では、写真を入れてExcelを仕上げた状態で報告書を提出してもらう運用を取っていました。担当者からは「写真を撮るのは現地なので仕方ないが、システムを使って事務所に戻ってからの作業を減らせれば」という声が出ています。同時に、Excelでやり取りしているにもかかわらず作業の報告がなかなか届かないという問題も抱えていました。戻ってから貼る前提になっていると、戻るまで報告は存在しないことになります。

自社の工夫で減らしにくいのは、報告書の様式を決める権限が自社にないためでもあります。日勤と夜勤を合わせて約55名が稼働するビルメンテナンスの会社では、客先と相談して「この様式で報告します」という形で提出しており、クライアントからは外装・内面・共用部という3種類のExcel様式を受け取っていました。ビルオーナーの指定が入っている枠は変更が難しく、別枠で運用せざるを得ない状態でした。「様式を統一しましょう」で終わらないのは、統一する権限が自社にないためです。

様式を変えられないのであれば、変えられるのは作る場所です。必要なのは顧客ごとの様式のまま、現地で写真を貼って提出まで済むことです。

選び方⑥:実績を別の場所へ書き写しているなら、見積と請求まで扱えるアプリ

選び方の6つ目は、実績を予定表とは別の場所へ書き写している場合に、見積と請求まで扱えるアプリを選ぶことです。

見積や請求の金額は、実際に誰が何時間入ったかという実績から起こします。ところが実績が予定表の側にしかないと、集計する人はそれを見ながら別のファイルへ入力し直すことになります。作業そのものは1回でも、記録は2回書かれるのです。

例えば、消防点検と排水管洗浄を手がけるビルメンテナンスの会社では、月次の業績会議に出す売上・原価の見込み表の作成に、以前は1人で2日、現在は各担当者が1日以上をかけています。 現場が終わったあとの集計は、担当者の数だけ発生します。

書き写しが起きるのは実績と金額が別の場所にあるためで、必要なのは同じ場所で実績から見積と請求まで起こせることです。予定だけを任せても、この集計は残ります。

6つのうち当てはまった項目が、任せるべき範囲を決めます。

当てはまった項目

必要な範囲

①〜④のどれか(予定側)

予定を共有するだけでは足りない。割り当てと変更の連絡まで任せられるアプリ

⑤報告書と写真を戻ってから作っている

報告まで任せられるアプリ

⑥実績を別の場所へ書き写している

請求まで任せられるアプリ

報告書と写真は、現地でスマホから提出できれば事務所に戻る理由が減ります。一方で見積と実績の集計は、作業の実績と金額が同じ場所にないと減りません。同じ記録側でも、必要な範囲は一段違います。

これで、自社に必要な範囲が決まりました。次章では、アプリ側がその範囲をどこまで引き受けられるのか、できることとできないことを整理します。

フィールドサービスの管理アプリでできること・できないこと

受付から請求までを扱うアプリは「フィールドサービス管理システム(FSMシステム)」とも呼ばれ、5つを1本にまとめることを目的に作られています。 ただし1本にすることが常に正解とは限りません。必要のない機能まで抱えることになり、入れただけでは埋まらない部分もあるためです。

できること:受付から請求までの5つの機能

アプリが引き受けられる機能は、大きく5つに整理できます。

機能

何ができるか

スケジュール・派遣管理

訪問予定を作り、誰を行かせるかを割り当てる。地図や現在地から近い人を選べる製品もある

作業指示・支援

現場で見る手順書・図面・過去の履歴をスマホに配信する

在庫・部品管理

持ち出した部品と在庫を紐づけ、次回の手配につなげる

サービスレポート(報告書)

現地でスマホから作業報告を作り、写真を添えて提出する

見積・請求

作業の実績から見積と請求書を作り、売上として集計する

5つすべてが要るとは限りません。 どれが要るかは、前章の6つの選び方のうち、どれが自社に当てはまったかで決まります。読者側の言葉で書いた条件は、製品側の機能名に次のように対応します。

選び方で求めた条件(読者の言葉)

対応する機能(製品の言葉)

①空き枠が一覧で見えて、日付を差し替えられる

スケジュール・派遣管理

②予定を人単位で並べて、割り当てられる

スケジュール・派遣管理

③受けた依頼をその場で予定に変えられる

スケジュール・派遣管理

④スマホで開始と終了を記録できる

作業指示・支援

⑤顧客ごとの様式のまま、現地で提出まで済む

サービスレポート

⑥同じ場所で実績から見積と請求まで起こせる

見積・請求

当てはまる選び方が1〜2個なら、その機能を持つアプリだけで足ります。 5つすべてを備えた製品を選ぶ必要はありません。使われない機能はコストと教育の負担になるだけでなく、画面を複雑にして現場の定着を妨げます。

実際に必要とされている機能に偏りがあることの根拠は、弊社が現場仕事の企業94社に聞いた調査です。「必須」または「便利」と答えた割合は、画像・PDFの添付が69.1%、地図連携が68.1%、CSV連携が67.0%、定期スケジュールが59.6%でした。一方で、報告書は40.4%、打刻は31.9%にとどまります。上位に来たのは、現場とやり取りする情報を運ぶ機能と、既存の仕組みへつなぐ機能でした。機能の総数ではなく、この上位にあたるものが自社に要るかどうかで判断できます。

できないこと①:現場の人が入力しなければ、何も埋まらない

できないことの1つ目は、現場の人の入力を省くことです。 システムを入れても、入力する人が現場側にいる限り、管理者が使いこなせるだけでは全体は埋まりません。

予定の実績も、作業の報告も、終了の時刻も、発生する場所は現場です。管理者がどれだけ精密に設計しても、入力する人がスマホを開かなければデータは集まりません。定着しない原因は機能不足ではなく、入力の担い手が分散していることにあります。

例えば、チェーン店の設備メンテナンスを手がける会社では、担当ごと・チェーン店ごとにExcelやスプレッドシートで完結させる運用になっていました。担当者は「1人2人でやっている分にはよいが、全体でやる分にはなかなか。全体が見えない」と話していました。仕組みを増やしても、それぞれが自分の場所に書いている限り、全体を1枚で見ることはできません。

できないこと②:予定を組む人が専任でない会社には、大きすぎる

できないことの2つ目は、予定を組む人が専任でない会社に合わせることです。 ディスパッチャー(配車担当)が独立した職種として存在する前提の製品は、兼任の担当者には重すぎます。

フィールドサービスの管理アプリを紹介する記事の多くは、配車を専任で担当する人がいる組織を想定して書かれたものです。しかし実際には、社長や事務担当が他の業務と兼任しながら予定を組んでいる会社が少なくありません。複数拠点をまたぐ配車の最適化や、オペレーター向けに作り込まれた画面は、片手間で開く人には操作が多すぎるのです。

例えば、空調・電気設備の工事を手がける会社では、事務所は2名体制で、そのうち1名がメインでスケジュールを把握しています。自分のノートをカレンダーにして、手書きで全部の予定を管理している状態でした。通信工事を手がける6名の会社でも、1人で全員分のスケジュールを考え、6人がどういうチーム分けでどこの作業をするのかを決めています。 どちらも予定を組むことが専門の仕事ではありません。

そして、専任でない人にとって大きすぎる道具は、入れても使われずに戻ります。例えば、職人と車を2拠点から現場へ出す工事会社では、以前に導入したソフトがスケジュール管理だけでなく現場管理・日報・売上管理まで全部連動した作りで、「結局そういうところは使いきれない」状態でした。求めていたのは予定の共有だけで、項目を細かく増やすほど使いづらくなり、最終的にホワイトボード管理へ戻りました。機能の多さは、兼任で回している会社ではそのまま使われない理由になります。

アプリに任せられる範囲は製品によって違い、5つ全部を引き受けるものから、一部だけを引き受けるものまであります。つまり、5つのうちどこを任せるかで、選ぶアプリが分かれるということです。次章では、任せる範囲で3段階に分けたアプリ6選を比較します。

フィールドサービスの管理アプリ6選|任せる範囲で3段階を比較

アプリは、5つのうちどこを任せるかで3段階に分かれます。多機能なものが常に良いわけではなく、前章の6つで当てはまった範囲を含む段階を選ぶのが基本です。

段階

アプリに任せる範囲

手元に残る範囲

掲載アプリ

段階1:集めて共有する

受付・割り当ての共有

作業指示・報告・請求

Googleカレンダー/TimeTree

段階2:割り当てて、届ける

受付・割り当て・作業指示・報告

請求

サポスケ/cyzen

段階3:5つ全部を1本にする

受付・割り当て・作業指示・報告・請求

なし

CSOne/Salesforce Field Service

段階1と段階2では、請求が手元に残ります。 これが許容できるかどうかは、会社によって分かれます。

段階1・2で止める理由になるのは、請求がすでに会計システムや基幹システムの側にあり、そこだけを切り出して入れ替える判断にはならないという事情です。

例えば、メンテナンスの一括受けを手がけ、作業は協力会社へ出している会社では、基幹システムをすでに持っています。ただし「それが経理のほうと紐づいている状況なので、行動の管理がシステムではできない」状態でした。そのため、登録済みの案件を毎月Excelへ吐き出し、その月の実施対象の物件と内容を確認しています。請求側のシステムは動かせないまま、予定側だけが手作業で残っているという形です。

一方で、段階3まで入れる価値が出るのは次のような場合です。

  • 持ち出す部品の点数が多く、実績から見積・請求への書き写しが大量に発生している
  • 保守契約ごとに請求の条件が違い、会計システム側で管理しきれていない
  • 会計システムや基幹システムそのものの入れ替えを検討している

どちらが正しいということではなく、請求側のシステムを動かせるかどうかで決まります。 動かせないなら段階1・2、動かせるなら段階3が候補になります。

なお、Excelとスプレッドシートはこのあとのアプリ6選には含めていません。 様式を自社で作れる強みはありますが、任せるのではなく自分で作るものだからです。実際、自社5名と協力会社で現場を回しているビルメンテナンスの会社では、前月20日前後までに予定を決めてExcelでカレンダー形式の表を作り、PDFにしてLINEで送っていました。

変更が出ると全員が集まって修正し、またPDFにしてLINEで送り直すという手順です。ファイルとして完成させてから配る形式である限り、予定が1回崩れるたびに作り直しと再送が発生します。

6つのアプリを、段階・機能・料金・無料でできる範囲で比較すると次のとおりです。

アプリ

段階

人への割り当て

変更の通知

報告書

見積・請求

料金(税別)

無料でできる範囲

Googleカレンダー

1

△(カレンダーを分けて表現)

△(通知設定のみ)

✕

✕

無料/Google Workspace Business Starter 1ユーザー月額800円

個人アカウントで共有カレンダーまで無料

TimeTree

1

△(色分け・メンバー指定)

○(コメント通知)

✕

✕

無料/プレミアム 月額300円・年額3,000円

共有カレンダーとコメントは無料。広告あり、ファイル添付は不可

サポスケ

2

○(人・現場・車両の各ビュー)

○(スタッフアプリへプッシュ通知)

○

△(実績の集計まで)

初期費用+月額29,800円〜。2拠点目以降は半額

2週間の無料トライアル

cyzen

2

△(本人が訪問計画を入れる形)

○(位置情報でリアルタイム把握)

○(写真添付・帳票出力)

✕

pro Standard 1ユーザー月額2,400円〜(年間契約)+初期費用100,000円/pro Premium 3,200円〜

最長14日間の無料トライアル

CSOne

3

○(GPS自動配車)

○

○

○

初期費用0円・3ユーザーID 月額24,000円。ID増で単価低下

30日間無料

Salesforce Field Service

3

○(ディスパッチコンソール)

○

○

○

Dispatcher・Technician 各1ユーザー月額21,000円(年間契約)/Contractor Plus 9,600円

Service Cloudの30日間無料トライアル

※料金は2026年9月時点の公式サイト掲載値です。改定される場合があるため、検討時は各社の料金ページでご確認ください。

Googleカレンダー

画像引用:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.google.android.calendar&hl=ja

Googleカレンダーは、予定を1か所に集めて全員で見るところまでを無料でまかなえるツールです。個人のGoogleアカウントがあれば、カレンダーを作って他の人と共有するところまで費用はかかりません。法人として独自ドメインや管理機能を使う場合は、Google Workspace Business Starterが1ユーザー月額800円(税別)からです。

フィールドサービスで使う場合の限界は、人への割り当てをカレンダーそのものを分けることでしか表現できない点にあります。1つのカレンダーに予定を並べると、誰の予定なのかが件名頼みになるためです。

例えば、外注業者と一緒に施工管理を回している会社では、業者6社ぶんの予定を扱うために6つのカレンダーを作り、それぞれの代表者1〜2名を招待して参加してもらうという運用を取っていました。業者側は基本的に見るだけで、入力は自社の営業が行い、進捗に応じて色を変えています。共有はできていますが、人が増えるほどカレンダーの数も増えていきます。

TimeTree

画像引用:https://timetreeapp.com/intl/ja/brand-resources

TimeTreeは、予定ごとにコメントをやり取りできる点が特徴の共有カレンダーです。無料プランでカレンダー共有とコメントまで使えるため、少人数で始めるなら費用をかけずに導入できます。有料のTimeTreeプレミアムは月額300円(年額3,000円)で、広告が消え、ファイルや写真の添付ができるようになります。無料プランでは広告が表示され、PDFなどのファイル添付は利用できません。

フィールドサービスで使われるのは、予定に「この現場はこの入口から」といった補足を紐づけられるためです。件名だけでは伝わらない情報を、予定そのものに残せます。

例えば、日常清掃・定期清掃・貯水槽清掃を手がける会社では、自分の予定はGoogleカレンダー、掃除の予定はTimeTreeと用途で使い分けていました。貯水槽の予定については現場のスタッフが直接TimeTreeへ打ち込む運用です。段階1では、1つのツールに寄せきらず用途でツールが割れることがよくあります。

サポスケ

画像引用:https://saposuke.jp/

サポスケは、現場へ出ていくスタッフの割り振りに特化したスケジュール管理ツールです。人・現場・車両といった単位で表示を切り替えられ、予定を組み替えるとスタッフのアプリへプッシュ通知が届きます。設備工事、ビルメンテナンス、清掃、害虫駆除、訪問介護など、スタッフが複数の現場へ出ていく業種で導入されています。

フィールドサービスで使う場合の位置づけは、崩れた予定を組み替えて、その場で現場へ届けるところまでです。作業報告をアプリから提出でき、実績の集計まで対応しますが、見積・請求までを一本化する製品ではありません。

料金は初期費用(導入サポート費)と月額29,800円からで、2拠点目以降は月額が半額になります。契約は1ヶ月単位で、管理ユーザー数に上限はありません。2週間の無料トライアルが用意されています。

cyzen

画像引用:https://www.cyzen.cloud/about_company

cyzenは、現場に出ている人の予定・位置・報告をまとめて集めるアプリです。訪問計画を地図上で組み、GPSで現在地をリアルタイムに把握でき、報告書は写真を添えてその場で作成・提出できます。Googleカレンダーとの連携にも対応します。

サポスケとの違いは、予定を誰が入れるかです。サポスケが管理者側から人を割り振る形なのに対し、cyzenは本人が訪問計画を入れ、管理者はそれを地図と一覧で把握する形に近くなります。訪問先が担当者ごとに決まっている業務には合いますが、当日の組み替えを管理者がまとめて行う業務では物足りなさが出ます。

料金はpro Standardが1ユーザー月額2,400円から(年間契約)で、別途初期費用が100,000円かかります。AI機能を含むpro Premiumは3,200円からです。最長14日間の無料トライアルがあります。見積・請求の機能はありません。

CSOne

画像引用:https://csone.biz/

CSOneは、受付から手配、作業指示、見積、作業報告、請求、在庫までを一続きで扱うフィールドサービス管理システムです。訪問修理と定期点検を同じ仕組みで管理できるため、突発対応が多い保守業務に向いています。GPSと地図による自動配車機能があり、利用する場合はスタッフ1人につき1IDが必要です。

料金は初期費用0円、3ユーザーIDで月額24,000円(税抜)からで、ID数が増えると単価は下がります。30日間の無料トライアルがあり、月単位での利用が可能です。マップ機能は従量課金、ストレージは1テナント10GBまでが無料枠です。

Salesforce Field Service

画像引用:https://www.salesforce.com/jp/service/field-service-management/

Salesforce Field Serviceは、顧客情報の管理と現場の手配を同じ基盤の上で扱う大規模向けのフィールドサービス管理システムです。ディスパッチャー向けのコンソール画面と、現場スタッフ向けのモバイルアプリが分かれており、協力会社にはContractor Plusという別区分のライセンスを割り当てられます。

料金は年間契約でDispatcherとTechnicianが各1ユーザー月額21,000円、Contractor Plusが9,600円(ログイン単位なら4,160円)、営業機能まで含むField Service Plusが27,600円です。Service Cloudの30日間無料トライアルから試せます。

専任のディスパッチャーがいて、顧客管理と現場管理を同じ基盤に載せたい規模の会社に向く製品です。単一拠点でスタッフ18名前後という規模には、価格も機能も大きすぎます。

3段階に共通しているのは、どれも「5つのうちどこを任せるか」で分かれている点です。段階1は受付と割り当ての共有まで、段階2は報告まで、段階3は請求まで。自社で手作業が重いところを先に決めておけば、候補は自然に絞れます。 候補を2〜3本に絞ったら、無料で試せる範囲を使って、実際に現場へ出ているスタッフに触ってもらってください。

フィールドサービスの管理でよくある質問

フィールドサービスの対象になる業種は?

自社のスタッフが顧客先へ出ていって作業を完結させる業種であれば、すべて対象です。具体的には、設備工事、ビルメンテナンス、消防設備、空調設備、電気工事、通信工事、害虫駆除、造園、医療機器、事務機器などです。業種のくくりではなく、人が顧客先へ出ていく業務の形をしているかどうかで判断してください。

フィールドサービスの管理アプリの費用はどのくらいですか?

段階によって大きく異なります。共有カレンダーであれば無料から、人への割り当てまで扱うツールで1ユーザー月額数百円〜数千円、受付から請求までを一本化するフィールドサービス管理システムで月額2万円台からが目安です。

注意したいのは、1ユーザーいくらの製品は、スタッフ数がそのまま月額に効く点です。10名なら収まっても、協力会社を含めて30名に共有しようとすると3倍になります。共有する人数を先に決めてから、料金表に当てはめてください。

予算の目安としては、現場仕事の企業91社に価格の受容範囲を聞いた調査で、月額29,439〜39,273円が受け入れられる価格帯という結果でした。スタッフ数が10〜30名程度の会社であれば、この範囲が1つの判断材料になります。

紙やExcelからどう移行すればよいですか?

一度にすべてを置き換えず、いちばん崩れやすい部分から順に移すのが現実的です。訪問予定と人の割り当てを先に移し、報告書と見積はしばらく従来の方法を続ける、という進め方であれば現場の負担を抑えられます。

ただし、移すと決めた部分については、前のやり方を残さないでください。 両方を更新し続ける状態になると、どちらが最新なのかが分からなくなり、結局どちらも信用されなくなるためです。移す範囲を段階的にすることと、移した範囲で併用を続けることは別の話です。

併用を続けないほうがよい根拠は、満足度の差です。弊社が現場仕事の企業94社に聞いた調査では、前のツールを完全にやめた45社のうち満足度が高いと答えたのは60.0%、併用が続いている28社では10.7%でした。切り替えきれている会社ほど満足度が高く、併用が続くほど低くなります。 移す部分を決めたら、前のやり方をいつやめるかも同時に決めてください。

やり方を途中で変えることをためらう必要もありません。例えば、直行直帰が前提のビルメンテナンスの会社では、はじめは物件ごとにQRコードを発行して読み込ませ、Gmailから送信させる方法を取っていました。人数が増えて手間になったためこれをやめ、次に勤怠管理専用のプリペイド携帯を1台契約する方法へ切り替えました。合わなければ変える前提で始めたほうが、結果的に早く定着します。

まとめ:アプリは「5つのうちどこを任せるか」で選ぶ

フィールドサービスの管理アプリを選ぶときに押さえるべき点は、機能の多さで比較しないことです。受付から請求までの5つのうち、自社で手作業が重く残っている場所から任せるほうが、効果が早く出ます。

本記事の要点は次の4つです。

  1. 選び方は、6つの確かめる点から。①〜④は予定側、⑤⑥は記録側の手作業。当てはまった項目が、任せるべき範囲を決める
  2. ①〜④のどれかが当てはまるなら、割り当てと変更の連絡まで任せられるアプリ。訪問日の決定権が顧客にある以上、共有するだけのアプリでは足りない
  3. ⑤報告書と写真の作成場所が当てはまるなら報告まで、⑥見積の集計元なら請求まで任せられるアプリ。報告書の様式は顧客ごとに違い、見積は実績と同じ場所にないと減らない
  4. アプリは任せる範囲で3段階。集めて共有する/割り当てて届ける/5つ全部を1本にする。段階1と段階2では請求が手元に残るが、請求側のシステムを動かせないなら、それが現実的な選択になる

まずは、6つの確かめる点を自社に当てはめてください。そのうえでそこを引き受けるアプリを2〜3本に絞り、無料で試せる範囲で現場のスタッフに触ってもらうことをおすすめします。比較表で並べるだけでは、現場が毎日開いてくれるかどうかまでは分かりません。

現場のスタッフの割り振りに特化したスケジュール管理なら「サポスケ」

訪問の予定は決まっているのに、当日の担当調整と変更の連絡に時間を取られている。そうした課題であれば、スケジュール管理に特化した「サポスケ」をご検討ください。

特徴

内容

スケジュール管理だけに特化

機能を絞っているため覚えることが少なく、現場に定着しやすい

4つのビューを切り替えられる

人・現場・車両・シンプルの各ビューで、割り振りの抜けとバッティングを確認できる

変更がその場で届く

予定を組み替えるとスタッフのアプリへプッシュ通知が飛ぶ

75歳以上でも使えるスタッフアプリ

現場側の画面は自分の予定だけが表示され、操作する項目を絞っている

協力会社にも共有できる

担当する案件だけを見せる制限ユーザー機能がある

サポスケを導入した企業では、スケジュール作成時間が80%削減されています。設備工事、ビルメンテナンス、清掃、害虫駆除、訪問介護など、スタッフが複数の現場へ出ていく業種で導入が進んでいます。

料金は初期費用(導入サポート費)と月額29,800円からで、2拠点目以降は月額が半額になります。契約は1ヶ月単位で、管理ユーザー数に上限はありません。

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